ニュース SNESの処理速度が時間経過で上昇、スピードランナーに衝撃

SNESの処理速度が時間経過で上昇、スピードランナーに衝撃

著者 : Penelope Sep 16,2025

年を重ねるごとに高速化しているように見えるSNES

スピードランコミュニティが不思議な技術現象に頭を悩ませている。スーパーファミコン(SNES)のゲーム実行速度が1990年代と比べて現在わずかに速くなっているようだという。この発見はBlueskyユーザーのAlan Cecil(@tas.bot)によって最初に指摘され、老朽化するSNESハードウェアの性能が実際には低下するどころか向上している可能性を示唆している。

物理法則に反する現象?

404 MediaとのインタビューでCecilは、SNESの音響処理ユニット(APU)であるSPC700が24.576MHzのセラミック共振器で制御される32,000Hzのデジタル信号処理(DSP)レートで設計されていたと説明。しかし過去の記録ではDSPレートにわずかなばらつきが見られ、温度などの外部要因が処理速度に影響を与える可能性が示唆されている。その結果として、数十年かけてこれらの微小な変動が累積し、ゲームのパフォーマンスに微妙な変化をもたらしているのではないかという。

データが物語る事実

Cecilは過去の記録よりも一貫して高いDSPレートを確認し、SNES所有者に対して独自測定の提出を呼びかけた。140件以上の回答から構成される結果データセットは、DSP速度に明確な上昇傾向があることを示している。2007年の歴史的平均値が約32,040Hzだったのに対し、最近の数値は約32,076Hzに上昇。温度が性能に影響を与える可能性はあるものの、変動範囲(31,965Hz~32,182Hz)から別の根本的要因が考えられる。

「143件の回答に基づくと、SNESのDSPレートは平均32,076Hzで、低温時から高温時にかけて8Hz上昇します」とCecilは追記で指摘。「この変化は温度だけでは説明できません。問題は—その理由です」

スピードランへの影響は?

スピードランへの潜在的な影響が興味深い:もしSPC700の音響処理が時間と共に高速化しているなら、サウンドキューに連動するフレーム精密入力やグリッチトリガーなどのゲーム内アクションが理論的には数ミリ秒早く実行される可能性がある。ただし専門家によれば、ほとんどのスピードランでは1秒未満の差に収まると考えられている。現時点でランキングへの影響はほぼないが、長期的な影響を確認するためさらなる研究が必要だ。

任天堂ゲーム機

現象の原因は不明だが、SNESは発売35周年を迎えようとする今も期待を裏切り続けている。材料の老化・部品のドリフト・その他の異常のいずれを通じたものか、ある意味で時を経て強くなっていると言える。任天堂のレガシーについてさらに知りたい方は、歴代最高のゲーム機売上台数ランキングをチェックしよう。